輪入道とは、牛車の中に恐ろしい形相の顔があるというインパクトがすごい妖怪です。
『ゲゲゲの鬼太郎』の作品中にも登場しており、かなり強い妖怪として登場しています。
そんな、この強烈な個性を持っている輪入道とは、いったいどんな妖怪なんでしょうか?
輪入道とはどんな妖怪?
輪入道は、浮世絵師の鳥山石燕の影響が強いです。
江戸時代後期の浮世絵師・画家で有名な鳥山石燕(とりやま せきえん)は、妖怪画をよく描いていたことでも知られています。
石燕が描いた妖怪画は、後年の葛飾北斎や歌川豊広などが描いている妖怪のような恐怖心・嗜虐性を過剰にかきたてるようなものではなく、むしろユニークさやシュール感を持つ作風でした。
この妖怪画が、後の妖怪画の画家たちに多くの影響を与えたことは確実で、石燕の作品の妖怪をそのままにして用いられることが多くあります。
現代では、日本人がもつ妖怪のイメージというものは、ゲゲゲの鬼太郎の作者水木しげるさんが広めたという要因が大きいのですが、その水木さんの妖怪画においても、石燕の作品からインスパイアされているものが多く、日本人のイメージする妖怪の多くは彼の著作からきているといってもよいでしょう。
その鳥山石燕が、妖怪画集『今昔画図続百鬼』において、炎に包まれている牛車の中央に怖い男の顔が付いている姿を描いています。
解説文によると、輪入道は『その姿を見た人間の魂を抜く』という妖怪ですが、呪符として『此所勝母の里』と書いた紙を戸に貼ることで輪入道を防ぐことができるとしています。
『此所勝母の里』というのは、儒家の始祖である孔子の門人・曾子が『母に勝つ』という名前を嫌い、『勝母の里』に入らなかったという『史記』のなかの『鄒陽列伝』の逸話からきているとされています。
この輪入道は、形状から1677年に刊行された『諸国百物語』にある、京都は東洞院通に出たという車輪の妖怪の『かたわ車』から描かれたものかもしれないとされ、『今昔画図続百鬼』で別の妖怪である『片輪車』『輪入道』は、一つの説を素材に別々にできた作品ということになります。
「諸国百物語」の挿絵は、車輪に顔がついた片輪車ですが、違うのは『輪入道が男性』『片輪車が女性』の顔が車輪の中に描かれてるところです。
そのような解釈が現在においてもされていますが、片輪車が女性に描かれ出したのは1743年に刊行された『諸国里人談』ごろからです。
石燕より以前の挿絵で既に描写の違いがあり、同じ説話だったものが片輪車・輪入道として分岐していったと考えられています。
輪入道が『ゲゲゲの鬼太郎』に登場!強さや特徴を解説!
ゲゲゲの鬼太郎には、この鳥山石燕の妖怪画のイメージのままで輪入道が登場しています。
原作の『ダイヤモンド妖怪』が初登場で、そのアニメ化の第1期の第36話でも登場しました。
その後の作品でも、妖怪車両の車輪などで複数回登場することがあるメジャーな妖怪です。
特徴としては、炎を操ったり、口から『炭素化光線』をはいて、対象をダイヤモンドにしてしまい、それを食べるという攻撃方法があります。
アニメの第3期では、砂かけ婆に懲らしめられて千年間眠っていましたが、ねずみ男のようなダイヤを目当てにする人間によって目を覚まされます。
メインの回以外は、ぬらりひょん側の群衆妖怪扱いでの登場が多くありました。
アニメ第4期では、人間の魂を食べて、その人の欲が深いほど美味しいとしています。
その戦いでは、光線を鏡で反射されて自滅してしまいましたね。
妖怪王編では、鬼太郎側につき、輪入道の炎をつけたリモコン下駄が、ぬらりひょんを倒す決定打となります。
実写版映画『ゲゲゲの鬼太郎」にも登場しており、このときは子泣き爺の旧友という設定で登場しています。
鬼太郎の頼みにより『妖怪機関車』を動かすというほどの実力者ですが、妻のろくろ首に頭が上がらないという面もありました。
ちなみに、実写映画版の輪入道を演じているのは、俳優の西田敏行さんでしたね。
アニメの第5期では、妖怪横丁の住人であり、鬼太郎と敵対する回はありません。
火車や白坊主と運送屋を営んでいて、鬼太郎達の妖怪退治に加勢することもありましたが、その後『妖怪四十七士』に覚醒し、火車の炎の技を受けてパワーアップしています。
まとめ
今回は、インパクト絶大の、いかにも妖怪らしい妖怪である、輪入道に関して紹介しました。
見た目は怖そうな顔をしていますが、鬼太郎側につくこともあるので意外な感じですね。
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